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(1)「パーソナライズして、本当にダイジョーブ?!」
  鶴本浩司氏(マーケティング構成作家)


Profile:鶴本 浩司
マーケティング書『顧客に選ばれるEメールマーケティング』(2002年6月発売)の著者。
1963年生まれ、独協大学卒。
外資系企業等に奉職後、1994年にオーストラリア政府観光局に入局。オンラインマーケティングマネージャーとして、インターネットでの数々のマーケティング手法を実践。 現在は、「マーケティング構成作家」として、企業のインターネット戦略の策定や、Eメールおよびウェブサイトのマーケティングプロデュースを手がける。 そのほか、シンクタンクの主任研究員(非常勤)、企業セミナーでの講演(主にEメールマーケティング)、コラム執筆など多方面で活躍中。
◇鶴本氏Webサイトはこちら:http://www.tsurumoto.com
鶴本 浩司氏



 パーソナライズして、本当にダイジョーブ?!

イメージ
*画面はイメージです

 近未来という言葉は、高度なテクノロジーを連想させる反面、どこか不安を抱かせる響きも含んでいる。
 合理的な社会、整然と管理された仕組み。どこか息苦しい。そう感じてしまうのは、近未来を描いた映画にそのような作品が多いためかも知れない。

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 2002年末に公開された「マイノリティ・リポート」も、やはりそんな雰囲気に包まれた近未来映画だ。
 舞台は2054年。
 犯罪取締に予知能力者を使い、犯罪の実行前に「犯罪予防局」が容疑者を拘束するという場面から物語は展開する。

 この映画の中には、じつは私たちのようなマーケティングを手がける人間に対しての、痛烈な皮肉とも思えるシーンがある。
 それはCRMとかワントゥーワンといった用語に関わっているほどドキリとさせられる。

 本人識別の手段として眼球照合が実用化されているこの時代(つまり2054年)、その技術は一般のショップにも普及しているという設定で話は進む。
 ちなみに眼球照合は実際のところ、指紋よりもはるかに精度が高いらしい。眼球の薄膜である虹彩(こうさい)のパターンによって個人を認識するという。

 問題の皮肉とは2つのシーンの組み合わせからなる。
 まずひとつは主人公のジョン・アンダートンがショッピングモールを歩いている場面。通りのあちこちのショップから、本人めがけて音声メッセージの宣伝が聞こえてくる。もちろん眼球照合で本人識別されてのことだ。

「こんにちは、ジョン・アンダートンさん。最近、疲れていませんか?」

「こんにちは、ジョン・アンダートンさん。休暇に旅行はいかがですか?」

 じつはアンダートンは事情があって当局に追われ逃亡しているのだけれど(その理由は映画をご覧ください)、しかし虹彩は当局に登録されているので、このままでは逃げおおせる訳がないのは明らか。
 逃れるには他人に成りすますしかない。そこで、他人の眼球を移植する手術を受ける。

 そして問題のもうひとつのシーンが登場する。手術後、つまり他人の眼球になったアンダートンは、街に出てGAPの店舗(ホンモノのGAPです)のドアをくぐる。

 すると本人めがけて発せられる音声メッセージ。

ヤマモト様、先日お買い上げいただいたタンクトップはいかがでしたか?」

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 ウェブマーケティングでもEメールマーケティング(メールマーケ)でも、「パーソナライズ」が謳われてる。特にメールマーケは「パーソナライズにもっとも適している」とも言われることも多い。

 それではどうパーソナライズするか。
 まず性別や年齢層といった属性がある。さらに登録時に嫌われ覚悟で「事情聴取」型のアンケートをしていれば、もう少しだけ詳しい属性がわかっているかも知れない(そのときの「申告」が本当なのかどうか、また今も変わりないのかどうか、といったことは別にして)。
 さらに過去のサイトクリック経路データだったりショッピング履歴などもあるかもしれない。

 インターネットにおけるパーソナライズというのは、最適なタイミングで最適な内容を提供してこそ効果があるのだと思う。反面、たとえ技術的に正しくとも、タイミングや内容が適切でなければ、逆効果になる。

 アンダートンは眼球を変えてもアンダートンであることには違いない。それは、名前でも眼球でもない、彼のマインドがアンダートンだからだ。
(終了)




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